「とても綺麗だよ、エルサ。
こんなにも可憐な花嫁と結婚できるだなんて、新郎は幸せ者だな」
ルイスはほほ笑んだ。アイリスを気遣うように、肩に腕を回している。
「ありがとう、ルイス兄様。
アイリスのドレス姿もとっても可愛いわ。
ルイス兄様の見立てなの?」
「ああ、そうなんだ。
アイリスには、向日葵のような黄色や、ローズクォーツのようなピンク色も似合うけれど、澄んだ青空の色がいちばん似合うと思って」
言いながら、ルイスがアイリスの頬に口づける。
アイリスは頬を赤らめながらも幸せそうにしている。
ロキが肩をすくめた。
「あーほら、カストル兄さん、寂しくならない?
僕が裏からいろいろ手を回して、お相手をセッティングしようか?」
「やめろ、いらん。
第一、おまえは場を引っ掻き回すことしかできないじゃないか」
笑いながら、アイリスが言う。
「でも、こーんなに可愛いエルサを見たら、王様がまためろめろになっちゃうね」
「よし、国王がノロケを言うたびに、猫のパーツを増やしていくことにしよう」
「どうせならヒキガエルにしたほうがいいんじゃないか」
カストルは真顔である。
苦笑しながら、ルイスが扉を開いて廊下を指し示した。
「さあ、式場で新郎がお待ちかねだ。
行っておいで、エルサ」
カストルのエスコートを受けながら、白で統一された渡り廊下を歩く。
その先、聖堂の扉の前に、白いタキシード姿のアレスが立っていた。
「エルサ」
幸福と愛しさにあふれた声とほほ笑みで、アレスはエルサに手を伸ばす。
その手をとって、エルサは彼を見上げた。
「アレス様――」
「とても綺麗だよ、俺のエルサ、最愛の花嫁。
これから先もずっと一緒にいよう。
愛してる」
「わたしもあなたを愛しています、アレス様」
聖堂の鐘が鳴る。
永遠の愛を誓い、幸せに彩られる日々が、エルサとアレスを迎えていた。
〈完〉
*エルサたちのR18は次回更新の後日談にあります