47 エピローグII ――純白の誓い

「とても綺麗だよ、エルサ。
 こんなにも可憐な花嫁と結婚できるだなんて、新郎は幸せ者だな」

 ルイスはほほ笑んだ。アイリスを気遣うように、肩に腕を回している。

「ありがとう、ルイス兄様。
 アイリスのドレス姿もとっても可愛いわ。
 ルイス兄様の見立てなの?」

「ああ、そうなんだ。
 アイリスには、向日葵のような黄色や、ローズクォーツのようなピンク色も似合うけれど、澄んだ青空の色がいちばん似合うと思って」

 言いながら、ルイスがアイリスの頬に口づける。
 アイリスは頬を赤らめながらも幸せそうにしている。

 ロキが肩をすくめた。

「あーほら、カストル兄さん、寂しくならない?
 僕が裏からいろいろ手を回して、お相手をセッティングしようか?」

「やめろ、いらん。
 第一、おまえは場を引っ掻き回すことしかできないじゃないか」

 笑いながら、アイリスが言う。

「でも、こーんなに可愛いエルサを見たら、王様がまためろめろになっちゃうね」

「よし、国王がノロケを言うたびに、猫のパーツを増やしていくことにしよう」

「どうせならヒキガエルにしたほうがいいんじゃないか」

 カストルは真顔である。
 苦笑しながら、ルイスが扉を開いて廊下を指し示した。

「さあ、式場で新郎がお待ちかねだ。
 行っておいで、エルサ」

 カストルのエスコートを受けながら、白で統一された渡り廊下を歩く。
 その先、聖堂の扉の前に、白いタキシード姿のアレスが立っていた。

「エルサ」

 幸福と愛しさにあふれた声とほほ笑みで、アレスはエルサに手を伸ばす。
 その手をとって、エルサは彼を見上げた。

「アレス様――」

「とても綺麗だよ、俺のエルサ、最愛の花嫁。
 これから先もずっと一緒にいよう。
 愛してる」

「わたしもあなたを愛しています、アレス様」

 聖堂の鐘が鳴る。

 永遠の愛を誓い、幸せに彩られる日々が、エルサとアレスを迎えていた。

〈完〉

*エルサたちのR18は次回更新の後日談にあります