「だめ、です……。ここは外ですよ」
「軽いキスしかしたらだめなの? がまんできないよ」
くっと腰のあたりを押しつけられる。そこにある硬い熱に、フランセットの鼓動が跳ねた。
「あなたの奥のほうまでねじ込んで、何度も突きたい。フランセットのいやらしいあえぎ声が聞きたい」
「や……っ、メルヴィンさま」
うなじに吸いつかれて、熱い舌でやわらかな皮膚を舐められる。耳の下あたりがフランセットは弱くて、メルヴィンはそれを知っているのだ。
自らの欲望を知らせるように、メルヴィンはフランセットをきつく抱きよせる。
「ねえ、フランセット。セックスしよう、いますぐ」
「だめ……。あかるいうちから、外で、なんて」
「すぐ近くに温室(グリーンハウス)がある。寝室まで待てないんだ」
フランセットの白いうなじを舐め上げて、それからメルヴィンは、熱を秘めたまなざしでフランセットを見つめながらくちびるに口づけた。
「……っ」
「好きだよ、フランセット。だからあなたを僕にぜんぶください」
*
春の温室は、外気よりもほんのりと温かい。濃い色をした大ぶりの花が咲き乱れる一角で、ベンチに腰を下ろしたメルヴィンにまたがるようにして、フランセットは下からまっすぐにつらぬかれていた。
「ア、あぁ……っ」
たぎりきった男の欲望をくわえこまされて、フランセットはむきだしの背をしならせる。そこにたくましい片腕をからませて、メルヴィンはフランセットを抱きよせた。
「っ、フランセット……」
ぐちゅっと大きくえぐられて、フランセットは全身を震わせる。胸もとには赤い痕がいくつも散り、さらに片方の乳房は彼のてのひらに覆われて、揉みしだかれていた。
「あぁん……っ、だめ、そんなに、深く……っ」
「ああ、奥まで押し込んでいるのがわかる? あなたのなかは、ものすごい歓迎ぶりだよ。うねって吸いついて、僕をしごき上げて……。このままだと、すぐにイってしまいそうだ」
余裕のない笑みを引きながら、メルヴィンはフランセットの体内を蹂躙していく。腰をつかまれて、ずるっと引き上げられてから落とされるたびに、大きな熱杭が感じやすい襞をこすりあげていく。
メルヴィンは、下履きをくつろげているだけで、そのほかの衣服を乱していない。しかしフランセットは、上半身だけを裸に剥かれた状態だった。
下肢はスカートの奥でつながりあっているため、幾重にもかさなる布の内側で、みだらな熱がたまっていく。
子宮の底をぐりっとえぐられて、フランセットはぞくぞくとした愉悦にのどを震わせた。
「ぁああっ……!」
「ねえ、もう一回イかせてほしい? 今度はここじゃなくて――――」
腰を抱いている手で、下肢のつなぎめにある花芯にメルヴィンがふれてきた。ぐにぐにと押しまわされて、おかしくなってしまうような快楽にフランセットは突き落とされる。
「っあ、やぁ、そこ、だめ、です……!」
「ここじゃなくて、なかでイかせてあげようか。それとも、両方いっしょに攻めてほしい?」
「あん……っ! あ、あぁ……!」
雄茎を挿入される前に、さんざんいじられてふくらみきったそれは、ひどく感じやすくなっている。押しつぶされて転がされたのちに、指先でつまみ上げられてこりこりと刺激されたら、もうたまらなかった。
同時に体内では、いきりたった獰猛な欲望が貪るように出し入れされている。追いきれないほどの快楽に、しっとりと汗ばんだ素肌がびりびりと張りつめるようで、フランセットは首をふった。
「だめです、だめ……、ァ、ああ……っ!」
「快楽にとろけきった顔をして」
メルヴィンは、舌なめずりをしながらフランセットの痴態を見つめた。
「かわいい。僕のものでもっとよがって、フランセット」
「メルヴィン、さまぁ……っ、もう、もう……!」
メルヴィンの首もとにフランセットはしがみついた。彼の硬い胸板に乳房がやわらかくつぶれる。赤く尖った乳首が突き上げられるたびにこすれて、するどい愉悦が下腹まで伝わる。
互いの激しい鼓動が重なりあうようだった。力強く抱きしめられ、再奥までつらぬかれて、フランセットは達した。
「あ……!!」
びくん、びくんと体が震える。
自分の蜜襞が、メルヴィンをきゅうっと締めつけていくのがわかる。
「っ……、フランセット」
メルヴィンが、耳もとでうめき声をもらした。
律動がゆるやかになって、じわりと体内に濡れた熱が広がっていく。
「フランセット……」
うっすらと汗をふくんだ巻き毛にメルヴィンがてのひらを差し入れる。そのままうしろ頭を引きよせられて、濃密な口づけを与えられた。
「ぅん……、ん……っ」
こじあけられた口のなかに、興奮の残る彼の舌が入り込んでくる。フランセットの舌をみだらにからめとり、こすりあわせた。
ぐちゅ、くちゅ、といやらしい水音がこぼれ落ちる。静かな温室には、おだやかな日差しがガラスを抜けてあたりを照らしている。
「ん……」
ゆるやかで濃密な口づけに、達したばかりの体はたやすく服従させられてしまう。ピンク色に上気した頬をいとしげになでられながら、フランセットは舌を甘く吸い出されてじっくりと歯を立てられた。
同時に乳房への愛撫が再開されて、フランセットの腰が知らず動いてしまう。ぬちゅ、とみだらな水音が生まれた。メルヴィンの欲望は、いつのまにか硬さをとり戻している。
「あ……メルヴィンさま……」
「だめだ、何度抱いても足りない」
恋情に濡れた瞳で、メルヴィンはフランセットを見つめる。
「好きだよ、フランセット」
こがれるようにささやいて、ふたたびくちびるを塞いだ。舌がからんで、唾液が甘くからみあい、ふたりの吐息が静寂に溶けていく。
乳房をこねられながら、ぐちゅ……と腰を押し込まれたときだった。うねるような快楽に脳髄まで犯されて、フランセットの視界がちかちかとまたたいた。
「あぁ……っ!」
メルヴィンの肩にひたいを押しつけて、フランセットはせまりくる絶頂に耐える。信じられない。こんなにもあっけなく達してしまうなんて。
自分のみだらさにフランセットが泣きそうになると、性急なしぐさでメルヴィンがフランセットのあごをつかみとり、強引にくちびるを奪ってきた。
「ん……ッ」
「は……、フランセット……」
角度を変えるあいまに、たまらないといった様子でメルヴィンが告げる。
「どうしてそんなにかわいいの。ねえフランセット、もっと僕を欲しがって」
「メルヴィンさま……気持ちいい、もっと……」
「愛してる。愛してる、フランセット――――」
熱量を秘めた声で告げながら、フランセットのくちびるをメルヴィンは食んでいく。
下肢を覆うドレスの下では、互いの体液に素肌がひどく濡れていた。こすれあう粘膜から生まれる途方もない快楽を享受しながら、フランセットはメルヴィンに溺れていく。
この腕に抱かれているときだけは、自身の責務も、彼の立場も忘れてしまう。
みだらな熱にとろけた意識を共有するように、メルヴィンとフランセットはくちびるを何度も重ねあった。