06 余裕の失せた情交

「あの、メルヴィンさま、待っ――、あぁんっ」

 制止の声は、体を貫いた快感によって阻まれた。
 ぬるついた口腔内にやわらかな乳首を含み、メルヴィンはちゅうっと吸い立てる。舌全体で舐め転がすようにされて、フランセットは息を乱した。

 メルヴィンの大きな手が、すべらかな太ももを撫で回している。上のほうに上がってくるそれをとっさに手で押さえたら、凝り始めた乳首を甘噛みされた。

「っあ……!」

 ビリっと走る快感に、フランセットの腰が跳ねる。力がゆるんでしまって、彼の手が下肢のあわいに辿りつくのを許してしまった。

 彼の長い指が花びらの割れ目を撫で上げる。強くもなく弱くもない絶妙な力加減に、フランセットの官能がこの上なく刺激された。

「あん……っ、ん……」

 割れ目に沿って、硬い指の腹が上下に動く。そのたびにみだらな水音が立ち、フランセットは羞恥に顔を赤らめた。

 夫に夜戯を教えこまれたこの体は、乱暴に口づけられたときからすでに愛液を滲ませていた。勃起した乳首をしゃぶられながら、感じやすい花びらを愛でられれば、フランセットはひとたまりもない。

 それまで考えていたことがすべて霧散して、メルヴィンから与えられる快楽に耽りきることだけを強いられる。今夜は抱かれる気分ではなかったのに、あまりにもあっけない。

 指が中に入ってきて、フランセットは白いのどを反らした。そこを彼の舌が這い、跡をつけるように強く吸いつかれる。

「だめ……跡を、見られてしまいます……」

 宮を訪れた義弟たちに、夜の行為を悟られることほど恥ずかしいことはない。なけなしの力を振り絞ってメルヴィンの肩を押すけれど、彼がやめてくれないことはわかっていた。

 花びらの中に指を出し入れしながら、メルヴィンはフランセットのうなじを味わい尽くした。それから顔を上げて、空いているほうの手で上気した頬を包む。

「愛してるよ、フランセット」

 掠れた声で告げて、くちびるを重ねる。彼の瞳はいつものように甘く濡れていて、けれど奥底に苦痛の色があるような気がした。

 メルヴィンがそういう瞳をしている理由に心当たりがなくて、フランセットはどうすればいいのかわからなくなる。けれどその疑問も、愛液に満たされた隘路を行き来する指によって、かき消えてしまうのだ。

 メルビンの指は、フランセットの弱いところを的確に刺激し続ける。ひどくみだらな行為をしながらも、口づけと頬を撫でるてのひらの動きは、胸を締めつけられるほど純粋な想いを届けてくる。

「ぅん……、ん……っ」

「フランセット……」

 口づけのあいまに名をささやきながら、フランセットの体内にある敏感な部分の襞をメルヴィンは抉った。鋭い快感に貫かれて、フランセットの背がしなり、絶頂に達する。

 びくんと震えた体を片腕で抱きこみながら、メルヴィンは蜜孔から指を引き抜いた。勃ち上がった滾りを同じ場所にあてがう。

 その獰猛な熱さに、フランセットはわずかに怯えた。毎晩のように抱かれているにもかかわらず、メルヴィンの示す雄の性に、フランセットは怖さを感じてしまうのだ。

 こうした心理にメルヴィンはちゃんと気づいているようだった。だからなのか、毎回ではないけれど、挿入の前に彼はフランセットのくちびるに口づけてくる。頭の中をとろけさせるように、甘く濃密に舌を絡ませて、フランセットのこわばりをほどいていく。

 彼の熱いキスに溶かされながら、フランセットは張りつめた昂りに貫かれていった。愛液に濡れた襞をじっくりとこすり上げられる感覚がたまらなくて、たくましい体に両腕を回す。そうすると、よりいっそう強くメルヴィンに抱きすくめられた。

「フランセット……っ」

 彼の全身に力がこもり、最奥までねじこまれる。子宮の底を抉られて、目もくらむような快楽にフランセットは犯された。

「ぁああ……っ!」

 ふたたび達すると同時に、メルヴィンが強く腰を打ちつけてくる。膣壁が蠢いて彼の欲望を食いしめる。メルヴィンは快楽に眉を歪めて、情欲をさらに燃え立たせたようだった。

 息を乱してみだらな愉悦に翻弄されるフランセットを、メルヴィンは何度も貫いた。彼の激しい愛欲に穿たれた膣孔は、やがて、白濁した精によって穢された。

 濃密な情交を終えて、息を荒げたままメルヴィンはフランセットを抱きこむ。汗にしっとりと濡れた巻き毛を、愛しげに指に絡めた。

 フランセットは、彼の腕の中で幸せを感じ、目の前にあるたくましい胸にくちびるを寄せる。

「愛しています、メルヴィンさま……」

 直後に、メルヴィンの体が小さく震えた。それから彼の腕に力がこもる。

「僕もだよ、フランセット」

 フランセットのひたいにくちびるを押し当てながら、メルヴィンは低い声でささやいた。

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