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 もうどれくらいの時間、貪られ続けているのかわからない。
 アスカはまるで、獣だった。野生の狼だった。

「あ、ふ、……ぅん……っ。もう、やめ……」
「やめるわけねーだろ」

 彼の熱い昂ぶりは衰えることを知らず、ずっとあたしの中に打ちこまれている。
 気が遠くなりかけるとさらに奥を突き刺され、悲鳴を上げて目が覚める。
 体のあらゆるところをねぶられ、噛まれ、吸われる。肌は赤く熱を帯び、あちこちに傷が刻まれた。

 けれど、痛いばかりだった体内で、わずかな変化が起こり始めたのを、あたしは愕然と、自覚した。
 じわりと、温(ぬる)いなにかが下腹部から広がる。
 アスカの抽送にあわせて、くちゅ、くちゅ、と水音が生まれ始めた。

「雌豚のミコサマは淫乱だな」

 耳朶をねっとりと舐めながら、アスカが言う。

「イきてぇんだろ?」
「……っ、ちが……っ。あぁっ!」

 アスカの親指が秘所の花芯をひっかいた。電流が走り、体が弓なりに浮く。

「珠のような肌が土だらけになって、哀れなもんだ。今まで大事にされすぎてたんだよてめぇは。くだらない雌犬のくせしやがって」

 熱杭を穿ちながら、親指で花芯をめちゃくちゃにこねまわされる。痛みの裏に、快感が走るのを、アスカは見逃さない。
 片方の足首をつかみ、秘所を割り広げて、アスカは嗤った。

「イけよ」

 容赦なく、的確に、アスカはあたしの最奥を抉るように突き刺した。
 あたしは嬌声とも悲鳴ともつかぬ声を上げながら、気を失った。

 ずぶずぶと、意識が沈んでゆく。
 灰色の泥だった。
 どこまでも落ちていった。

 しかしやがてゆるゆると、光の帯が胸の中に入ってきた。
 なんだろう、と思って引っ張ってみると、それはとろりと溶けて、あたしの皮膚と交わった。

 それは、記憶だった。

 かき回されて原型をとどめなかったあたしの脳内の、あのころの、記憶だった。